くるり

【LIVE REPORT】

いよいよ「ビクターロック祭り」も佳境! 様々なフェスのヘッドライナーを担ってきた歴戦のライヴ猛者たちが次々と登場する後半戦、7組目に登場したのはくるりだ。

「くるりと申します、よろしくお願いします。ありがとう」

そんな風に岸田繁が告げ、ライヴはスタート。「♪ジャジャッ!」というイントロの一音で大きな歓声が上がる。“ワンダーフォーゲル”だ。四つ打ちのビートと多幸感あるハーモニーがフロアを歓喜で包む。ファンファンのトランペットもカラフルに曲を彩る。そうして1曲目からオーディエンスの心をグッと掴むと、6/8拍子のゆったりとしたグルーヴと歌心がスケールの大きな叙情性を描く“ブレーメン”、軽快なメロディのポップソングから徐々にカタルシスに上り詰めていく“ロックンロール・ハネムーン”と続ける。
今回のくるりのステージは、岸田繁、佐藤征史、ファンファンというメンバー3名に加え、the_cigavettesの山本幹宗(G)、BOOM BOOM SATELLITES などのサポートをつとめる福田洋子(Dr)という2名をサポートに迎えての5人編成。ロックンロールのキラメキを詰め込んだ“everyday feels the same”、あまりフェスの場では披露しないレアな名曲“花の水鉄砲”など、息のあったプレイで空気を掌握していく。

「いろんな格好いいロックバンド出てるんですけど、僕らもロックなんで、呼んでもらえてよかったです」

そんな風に岸田繁は言っていたけれど、この日の彼らはまさにロックバンドの旨味成分をギュッと濃縮したような風格に満ちていた。披露したのも、ハッピーだったり、切なかったり、深く胸に染みる浸透力を持ったナンバーばかりだ。終盤に披露したのは、ミドルテンポの優しいメロディが折り重なっていく新曲“loveless”。そして郷愁に満ちたメロディを感情たっぷりに歌い上げる“虹”。沢山の人が聴き惚れていた。
「ビクターの人達が頑張ってるおかげで、こうしてライブできてます。拍手を送ってあげてください」というMCに大きな拍手が巻き起こり、ラストに披露したのはデビュー曲“東京”。感情の奔流のような楽曲を、豊かなバンドサウンドが彩る。感動的。そして最後は5人が一列に揃って深々とお辞儀して終演。大団円のステージだった。


ライター:柴 那典/カメラマン:橋本 塁(SOUND SHOOTER)

【SET LIST】

  • 1. ワンダーフォーゲル
  • 2. ブレーメン
  • 3. ロックンロール・ハネムーン
  • 4. everybody feels the same
  • 5. 花の水鉄砲
  • 6. Loveless
  • 7. 虹
  • 8. 東京